技術および政治的な紛争を沈静化させたGIMPファイルフォーマットのドキュメント化の功績
OTPの記事にあるようにXCFファイルフォーマットの仕様書がなかったことが非難の対象となっていたかどうかについては分かりません。
一応、Gimpのtar玉にはxcf.txtというXCFファイルのデータ構造を簡単に記述したファイルが入っています。
gimp/devel-docs/xcf.txt (旧ファイル)
初期バージョンのGimpでは単純な画像データとそれに付随するデータしか保存されていなかったものが、今ではさまざまなデータも継ぎ足されています。あらかじめファイルフォーマットの仕様書を作成してからそれに基づいてデータフォーマットを決めたのではなく、仕様書無しにデータフォーマットを作ってしまって、それに継はぎで足していった、というのが現在の状況のようです。(もちろん開発者の中では仕様が作られていたでしょうけど)
そういった経緯もあって作られていなかった仕様書を、今後も変化していくXCFファイルフォーマットのために書こうというのがなかったのではないでしょうか。
Gimpはクローズドなソフトウェアではなくてオープンなソフトウェアなので、ソースコードを見れば分かるさ、というのも言い分としては分かります。しかしこれも「A file format that is "documented in the source code" isn't documented」などと揶揄される始末です。
XCFファイルフォーマットのXCFとは eXperimental Computing Facility の略で、Gimpの原作者が所属していたカリフォルニア州バークレイ校のコンピュータクラブの名前に由来しています。
もともとGimpのために使うファイルフォーマットで、他のアプリケーションのために・・・とは考えにくいです。しかし今ではImageMagickやXnViewなどといった画像ビューアーやKritaのようなペイントソフトでもXCFファイルが扱えるようになっている時勢です。Henning Makholm氏のまとめたxcfspec.txtは歓迎されることでしょう。
現在のgimp/devel-docs/xcf.txtの中身はxcfspec.txtの内容に置き換わっています。
まだどうなる分かりませんが、次世代のXCFフォーマットのXCF2がメタデータを扱うとなると、また仕様書を書き直さないといけなくなりそうですね。